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歯機器誌 JJDent Equip Vol.13 No.2 2007 (平成20年4月) 目次

巻頭言 歯科診療空間
第17回研究発表大会報告
第17回研究発表大会受賞リスト
特別l講演 改正薬事法について -生物学的安全性と歯科臨床とのかかわり-
☆第17回道具大賞にて発表 ↓クリックで冒頭を表示します
一般論文 1 .チタン製インプラントとアルミ箔の電磁波的診断への応用
  〃

2 .レジン重合収縮柄を補償する義歯の製作法

  〃 3 .スポイト機能を持つ歯科用筆の試作
  〃   4 .使いやすいデジタルレントゲン撮像素子フォルダーの開発
  〃 5 .歯科臨床用う蝕象牙質硬さ測定器の試作
  〃 6 .ユニットチェアにおけるユニバーサルデザイン〜超高齢社会への対応〜
  〃 7 .携帯可能なオゾン滅菌器の開発
  〃 8 .可搬式水平腕をサベイングについて
  〃 9 .三次元デジタル拡大鏡の開発と拡張現実臨床教育システム
シンポジウム 歯科診療環境をデジタル化する目的とは?
データ管理と院内ネットワーク
歯周検査とカルテ、情報提供文書の連携
All in one ネットワークシステム法
デジタルネットワーク機器の現状と今後の可能性
日本医用歯科機器学会理事会議事録
日本医用歯科機器学会会則
編集後記

−−−−−−−−−−−−−−  一般論文冒頭部分(抄録より抜粋)  −−−−−−−−−−−−−−−

チタン製インプラントとアルミ箔の電磁波的診断への応用
藤井  佳朗 (新神戸歯科)
【緒言】
近年、急速に進行する社会のIT化とともに、パソコンや携帯電話など、電磁波を発生させる電子機器が急速に普及しつつある。これらの普及により、通信媒体が進歩し、それに伴う利便性を向上が謳われる一方で、これらの電子機器から発する有害電磁波の有害性についての報告がヨーロッパを中心に諸外国では問題となり、小児の携帯電話の使用を制限する国もある。一方わが国では、一部マスメディアや市民グループがこれら有害電磁波の害を指摘することはあっても、国家レベルでの規制はほとんどなく、電子機器の普及は事実上野放し状態といってもよい。有害電磁波によってどのような為害作用があるのかについては、わが国においては研究が進んでいないので不明な点が多いが(、脳血流障害をはじめ各種不定愁訴の原因になるといわれ電磁波過敏症とも言われている。一方、肩こりや腰痛といった不定愁訴と歯科との関連が周知されるようになり、これら不定愁訴を抱える患者が歯科にも多数来院している。その中で、当医院では電磁波過敏症が関連していると思われるケースが増加している。その場合、電磁波過敏症であるかどうかの診断を下さなければならないが、その場合、チタン製インプラントとアルミ箔の組合せによる診断法が臨床上有用であると判断しているので、例を上げて報告する。(続く)

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レジン重合収縮を補償する義歯の製作法
滝口  弘毅(滝口歯科診療所)
岡根谷哲次(株式会社フェニックスデント) 
【はじめに】
義歯床用レジンは重合時に必ず重合収縮を起す宿命を持つ。この重合収縮を起こさない義歯の製作に先人達は多くの研究を重ねてきたがいまだ成功していない。
完成した義歯(重合収縮を起こし狂った義歯)を患者さんに装着しても術者は義歯のどこが狂っているかを見ることができない。患者が{痛い}という箇所を削るだけとはあまりにも能がなさすぎる。
私どもは義歯重合時の変形を起こすあらゆる要因を取り除き正確な義歯を製作するシステムを完成したので発表する。(続く)

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スポイト機能を持つ歯科用筆の試作
里見 孝(山形大学医学部附属病院歯科口腔外科技工室)
【背景】
歯科領域における即時重合レジンや仮封剤等の筆積法に用いられる筆は、主に、筆先が着脱できるタイプ、木製のストレートタイプである。その使用方法は、モノマーとポリマーをそれぞれラバーカップ等に取り出し、モノマーを浸み込ませた筆先に、ポリマーを球状にすくい採る方法が一般的である。しかしモノマーが蒸発しやすいため、筆先にすくい採ったレジンの筆離れが悪く、的確な操作に困難をきたしていた。また、口腔内処置では、ラバーカップ内のモノマーが、ポリマーや唾液の混入より組成変化の原因ともなる欠点があった。
そこで我々は、歯科領域で使用する筆に、ディスポーザブルタイプでスポイト機能を持たせた筆を試作した(以下、マルチブラシ)。これよりモノマーが常に筆先に供給されることで、筆先の乾燥がなくなり、筆積み操作が行ないやすくなった。さらに筆先を自由な角度に調節可能な構造にすることで、今まで届き難かった口蓋側や臼歯遠心側への処置が的確に行える筆を試作したので、その概要を報告する。(続く)

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使いやすいデジタルレントゲン撮像素子フォルダーの開発
葭田 秀夫(葭田歯科医院)
平柄 喜章(株式会社吉田製作所)
【はじめに】
歯科治療に不可欠なX線検査は、撮影後に画像処理が可能・即時性・現像廃液処理の問題等で、銀塩フィルムからデジタルレントゲンに移行しつつある。
(株)ヨシダ社Dentnavi用CMOSセンサー(以下CMSと略記する)は、その保護ケースが大きく厚い・コードが付いている・重い等で、銀塩フィルムと比較して扱いにくい現状がある。
CMSは全体の大きさに比較してセンサーが少し小さいため、臼歯部撮影の際に根尖が撮影できない失敗が起こりやすい。(続く)

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歯科臨床用う蝕象牙質硬さ測定器の試作
清水 明彦(兵庫医科大学口腔外科学講座)
【はじめに】
う蝕の治療に際しては、う蝕で軟化したし象牙質賀を過不足なく的確に除去することが大切である。しかし、う蝕象牙質の軟化の程度(硬さ)を客観的に調べる方法がないため、歯科医師が自分の臨床経験やカンにより、削除範囲を決めているのが現状である。                                              もし歯科臨床で使用できる硬さ測定器があれば、う蝕象牙質の削除範囲に客観瀬を持たせることが可能である。しかし臨床的にう蝕象牙質の硬さを調べることができる機器としては実用化されたものは、世界的にもない。 そこで本研究では、円錐形の圧子を一定の深さまで押し込むのに要する力の大きさから、その部の硬さを判定する装置を開発・試作したので報告する(続く)

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ユニットチェアにおけるユニバーサルデザイン 〜超高齢社会への対応〜
根本 忠明(株式会社吉田製作所)
【緒言】
2007年現在の全人口に対する高齢者(65歳以上)の人数は2,703万人であり、全人口の約2割を占めている。
 今後この数値は加速度的に伸び続け、18年後の2025年には3,600万人に達すると言われている(3人に1人は高齢者の割合)。
 このような状況に対し、従来の歯科診療用チェアでは、筋負担が多く掛かる乗り降りの動作に配慮したチェアは、まだ少ない。
 また、今後インプラントや歯周治療といった高度で長時間にわたる診療形態が増え、診療ポジションでの寝心地の良さがますます重要になっていくと考えられる。
 これらに対し、今回は幅広い年齢層や体型にやさしいチェアの開発を行った。(続く)

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携帯可能なオゾン滅菌器の開発
新井 浩一(明海大学歯学部機能保存回復学講座歯科生体材料学分野)
渋澤 一良(株式会社日本デント)
安藤 進夫(日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座)
野村 充  (日本大学松戸歯学部歯科生体材料学講座)
【緒言】
近年、歯科医療従事者および患者への感染予防対策の一つとして、印象およびも家の滅菌が提唱されてきているが、模型の滅菌は行なわれていないのが現状である。従って、滅菌されていない模型を取り扱う際に、ウイルスや細菌と接触し歯科医療従事者および患者が感染する危険性がある。
 また、診療室の診療をはじめとして、在宅診療、僻地診療、災害時診療および海外派遣された自衛隊員の診療に使用可能な携帯できる滅菌器は市販されていない。
 筆者らは、試作アルゴン・水銀のリング状紫外線ランプ(185nm波長、外径40mm)を使用した模型および器具用オゾン滅菌器を開発し、第14回日本医用歯科機器学会で発表した。その後、殺菌効果試験を行なった結果、菌の種類により、完全に殺菌できない菌があることと時間がかかり過ぎることがわかった。
本研究は、感染予防のための常温高速滅菌器を量産試作し、実用化する目的で、全殺菌工程の時間を短縮するために新たに発光長200mmのU字型の紫外線ランプ2本使用した携帯可能な医療器具用オゾン滅菌器を開発し、検討を行なったので報告する。(続く)

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可撒式水平腕を用いたサベイングについて
田中 誠(愛歯技工専門学校)
【はじめに】
部分床義歯製作において設計時にサベヤーを使用する際、術者は片目を閉じるなど模型水平面から各鉤歯の平衡を確認した上で一旦、模型台のロックネジを固定する。その後、測定杵(ゼロ傾斜)を用い鉤歯近心部や遠心部の審査など行い、固定位置を再度確認し、着脱方向線記入やトライポディングの描記へと作業を進める。この(従来法の)問題点は、模型台への固定基準の多くを模型水平面方向からの模型観察に委ねている点である。つまり、前歯部の設計は鉤指導線を記入しなければ唇側方向からの鉤腕のデザインについて十分に検討できない点である。
そこで今回、低出力赤色レーザーポインター(クラス2)を試作「可撒式水平腕」に取り付け、上方からの点灯により鉤歯に現われる陰影から作業用模型の設置角度を審査し、さらに唇側面から鉤腕の設計について十分な検討ができるようにした。(続く)

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三次元デジタル拡大鏡の開発と拡張現実臨床教育システム
高橋 淳(医療法人 筍会)
【はじめに】
一般的に細密な手技を要求される口腔内手術時には光学拡大鏡が従来から広く用いられている。
しかしながら実際の臨床使用にはいくつかの問題があることも否めない。第一に、固定焦点と浅い被写界深度によって術者は手術野に対する頭部距離を一定に保つことを強いられるので、長時間の使用は頭頚部の筋肉に大きなストレスを与え、肉眼の調節機能が作用すれば焦点距離の自由度は拡大し、頭部固定の制約は減少するが、相対的に眼精疲労は増大することになる。さらに高拡大率の光学拡大鏡では視野が挟まり装着者あるいは患者の姿勢が変化した場合、明視対象を確保することが困難である。加えて拡大鏡を装着したままでバイタルサイン、あるいは各種モニターの情報などを確認する為には、拡大鏡を取り外す必要があった。このような諸問題を解決し、術野をより快適に拡大明視する為に三次元デジタル実態拡大鏡を試作開発したので報告する(続く)

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