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   歯機器誌 JJDent Equip Vol.15 No.1 2010 (平成22年4月) 目次
巻頭言 学会の活性化に向けて
第19回研究発表大会受賞リスト
特別l講演 光干渉断層画像診断装置(OpticalCoherenceTomography)~歯科用OCT画像診断機器の開発と口腔疾患への応用~
☆第19回道具大賞にて発表 ↓クリックで冒頭を表示します
一般論文 1 .咬合器の試作
  〃

2 .SAMをベースに構築した咬合器システム 

  〃 3 .補綴物研磨時に有効な保持具について
  〃   4 .インベストメントエジェクタ
  〃 5 .三次元ワックス造形CAD/CAMシステムを用いた加圧成形型セラミックインレー
    -リアルタイム干渉深度計算エンジンを用いた適合性の検討-
  〃 6 .頬側拡大を左右側それぞれで行うことができるフリーサイズ型上顎印象用トレーの開発
  〃 7 .下顎印象用トレーのフリーサイズ化への試み
  〃 8 .非電動回転式歯ブラシ(ペリオラ)の開発および歯垢除去に対する臨床評価
  〃 9 .タグバック探知器による検査はう蝕除去の判定に有効か
  〃 10 .高齢者のための頭部背部側方傾斜用パッド
  〃 11 .嚥下内視鏡検査を用いた食塊形成能の評価と摂食機能療法
  〃 12 .携帯可能な紫外線・オゾン併用常温高速型滅菌器の再試作
  13 .分割し装着する部分床義歯
  14 .インプラントオーバーデンチャー用角度補正型マグネットアタッチメントの開発
日本医用歯科機器学会理事会議事録
日本医用歯科機器学会会則
編集後記
    -----------------  一般論文冒頭部分(抄録より抜粋)  ------------------
咬合器の試作
滝口弘毅(滝口歯科診療所)、岡根谷哲次(株式会社フェニックス)
緒言
最近の電子機器の発達により咀嚼運動中、下顎が何時どの位置にあるかが正確に表示できるようになった。しかしその位置を実際に3次元で表示できる咬合器は存在しない。
そこで岡根谷は下顎が上下、左右、前後の3次元に移動しアナログでその距離を読み取る装置を開発した(続)
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SAMをベースに構築した咬合器システム 
西山和彦(あい歯科クリニック)
緒言
過去より現在に至るまで、多数の咬合論に基づく診断や技工方法が発表され、それを具現化する咬合器が存在する。しかし、臨床応用したい様々な方法がその咬合器がなければできず、煩雑、不自由、かつ経費がかかる。
そこで.、正規のSAM咬合器システムを拡張する意味で、この中にない他機種咬合器の機能を、本咬合器で行えるようにし、当院で必要とする咬合診断、技工に応用しているので、紹介する。(続)
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補綴物研磨時に有効な保持具について
田中誠(愛歯技工専門学校)、森田実(三重県歯科技工士会)
【緒言】
近年、歯科技工士を目指す学生で金属やレジン研磨に使用する研磨材による手指の汚れやあれに抵抗感を示す生徒が増加してきた。具体的に挙げれば、切削バーの使用に伴う爪の減り、爪先に黒く留まる研磨材や切削屑、慢性的なあれや皮膚炎がそれで、職業としての将来性を考えれば改善されるべきである。
そこで、わずかな力で補綴物を把持し、研磨時に起きる摩擦熱、切削バー、研磨材から指先を保護できるプライヤー型保持具の設計を手がけた。ビーク部には新たに可動式の保持機構を設計し、さまざまな形状の補綴物を安定して把持するなどの有効性が明らかとなった。(続)
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インベストメントエジェクター
中西竜三郎、林純子、坂口節子(以上、日本大学歯学部附属歯科技工専門学校)
廣瀬英晴、佐藤吉則(以上、日本大学歯学部歯科理工学教室)
【緒言】
歯科技工作業の効率は、使用する材料および器具に影響される。鋳造工程で鋳造リングから鋳造体を取り出す作業は、臨床家は手指の母指(親指)で鋳造リング内の湯残り部を押して行っている。この作業は非力な女性には困難で、湯残り部を金属棒を用いて突いたり叩いたりして取り出しているのが現状である。この金属棒を用いた作業は、鋳造体に変形を生じされる原因となる可能性があって好ましくないと考えられる。
これまで、鋳造後の埋没材を鋳造リング内で破壊して鋳造体を取り出す器具としてマイクロモータに取り付けて使用するカーバイドチップや空気振動式切削器などがあるが、これらの器具を用いるとしても、鋳造リングから鋳造体を埋没材毎一塊にして取り出す工具はないのが現状である。そこで、本研究ではこれまで改良がおこなわれてこなかった鋳造リングから鋳造体を取り出す作業に着目し、鋳造体を埋没材毎に一塊にして取り出す器具を試作したので、その構造、構成及び使用方法と使用結果について報告する。(続)
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三次元ワックス造形CAD/CAMシステムを用いた加圧成形型セラミックインレー
-リアルタイム干渉深度計算エンジンを用いた適合性の検討-
山本雄嗣、桃井保子(以上、鶴見大学歯学部歯科保存学第一講座)
小川匠、井川知子、重田優子、笠間慎太郎、福島俊士(以上、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座日本デント)
河村昇、井原啓祐、水野行博(鶴見大学歯学部歯科技工研修科)
鈴木薫之、加納裕(株式会社スリーディー)
緒言
本学新ハイテクリサーチセンターにて、三次元ワックス造形CAD/CAMシステムを用いた歯冠修復装置製作の研究・開発を行っている。今回、そのCAD/CAMシステムを用いて加圧成形型セラミンクインレーの製作を行ったので、そのシステムを紹介するとともに、インレーの窩洞適合性評価について報告する。加えて、リアルタイム干渉深度計算エンジンを窩洞適合性評価に応用したので、その可能性についても報告する。(続)
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頬側拡大を左右側それぞれで行うことがきでるフリーサイズ型上顎印象用トレーの開発
青柳裕仁、楳本貢三(神奈川歯科大学生体材料器械学講座)
岩崎直彦、高橋英和(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔機能再構築学系摂食機能保存学講座先端材料評価学分野)
【緒言】
印象採得は歯科医療の中でも非常に重要な処置の一つであることから多くの研究および特許の申請がされている。しかしながら、それらでは喉咽頭方向への拡大や左右の歯列弓の大きさの違いへの個別対応が不可能であることを指摘されている。そこで著者らは前報にて、市販の印象採得用トレーを改良することで院内にて容易に作製でき、かつ、安価にできるフリーサイズの上顎印象用トレーについて報告を行った。このフリーサイズトレーは、SタイプからLタイプまでの範囲調節を行えることが可能であり、院内もしくは家庭内にある道具にて安価で作製できた。しかし、口蓋側の櫛型携帯のために咽頭方向への拡大は可能であったが、頬側への拡大が難しく、左右側を個別に調節することは不可能であった。一方、トレー後方部を2分割することで、それぞれが独立して調節を行える可能性も考えられた。また、口蓋部ではトレーの裏打ちが不十分になる可能性があった。さらに何枚かの板を組み合わせている部位が生じたために消毒や滅菌に対する不安があった。
そこで本研究では前回のフリーサイズ型上顎印象用トレー(旧型トレー)を基に、頬側方向への拡大を左右側それぞれ個別に調整でき、より簡便な構造としつつ郊外部の補強を考慮したフリーサイズの上顎印象用トレーを開発したので報告する。(続)
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下顎印象用トレーのフリーサイズ化への試み
青柳裕仁、楳本貢三(神奈川歯科大学生体材料器械学講座)
岩崎直彦、高橋英和(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔機能再構築学系摂食機能保存学講座先端材料評価学分野)
【緒言】
著者らは市販の上顎印象採得用トレーを用いて、SからLタイプまでの範囲調節を行え、かつ、左右側が独立して調節を行えるリンク式構造を持つ新型フリーサイズ型上顎印象用トレーの開発を行った。下顎トレーにおいても上顎トレーと同様にフリーサイズのトレーが開発できれば、臨床における利点は多いものと考えられる。
そこで本研究では上記研究を基に左右側の拡大を咽頭側および頬側への個別に調整できるフリーサイズの下顎印象用トレーを開発したので報告する。(続)
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非電動回転式歯ブラシ(ペリオラ)の開発および歯垢除去に対する臨床評価
八重樫 潤(銀座US歯科)
【目的】
現状のブラッシングおよびその指導時における問題点として以下のことが挙げられる。
①水平法を長期間にわたり日常取り入れてきた被験者にとって毛先に重点をおく刷掃法(バス法等)への変更は難しい。すなわち刷掃指導下にある期間は継続、維持可能であるが、一旦メインテナンスの管理期からはずれると水平法に戻ることが多々みうけられる。
②バス法等の毛先に重点を置く刷掃法において、全体磨き(歯表面)と部分磨き(歯頸部およびコンタクト)の使い分けが難しい。すなわち毛先を歯と歯肉の凹凸に合わせて方向、振幅、強弱(刷掃圧)をコントロールする手指の感覚の習得が非常に困難である。
③歯ブラシと補助的刷掃用具(ワンタフトブラシ、歯間ブラシ、フロス)を併用すると効果の点では優れているが、5分以内におさまらず最低でも20分以上ようしてしまい効率の点で問題が多い。
④刷掃時間の短縮化が水平法を安易に選択させ、さらに無意識にパームグリップを誘発することが多い。パームグリップは握りも強くなり肘もあがるため腕全体の過剰な力のブラッシングとなりやすい。それは細部への毛先の到達も困難とさせる。
そこで今回は水平法を行った場合でも毛先磨きと同等な効果が得られ、さらに歯と歯肉に適した刷掃圧のローラー様式歯ブラシを設計および開発し、実際に被験者に使用させ、刷掃効果および効率を臨床評価した。(続)
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タグバック探知器による検査はう蝕除去の判定に有効か
清水明彦(兵庫医科大学歯科口腔外科学講座)
【緒言】
う蝕象牙質の硬さは、病巣を削除する場合の大切な指標の一つとして、修復学の教科書や昨年出版されたう蝕治療ガイドラインにも記載されている。しかし実際の臨床では、う蝕象牙質の硬さの判定は、もっぱら術者の主観や経験でなされているのが現状であろう。
およそ100年前、G.V.Blackにより近代的なう蝕の治療法・修復法が学問として確立され、それ以後新しい材料や医療機器が開発され、歯科医療は飛躍的な発展を遂げてきた。しかし硬さの判別は、う蝕の治療にとって大切な指標とされながらも、今日に至るまで実用化された測定機器はない。ただ試作機器などによる硬さと判別法の報告が散見される位である。
本研究の目的は、試作タグバック探知器が、う蝕除去に際し硬さの判定に有効な機器となるかどうかを検討することである。(続)
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10
高齢者のための頭部背部側方傾斜用パッド
葭田秀夫(葭田歯科医院)
平柄喜章(株式会社吉田製作所)
初めに
高齢者人口が増えて、これらの方の診療機会が増えた。高齢者の中には口蓋帆張筋等が衰え、水平位診療に際して固有口腔深部に溜まった水を保持することができず咽る方が多く見られる。
固有口腔深部に水を溜めないため、口腔を左右どちらかに傾け口腔前庭に水が溜まるようにすると、無理なく診療が行える。しかし体の硬くなった高齢者にとって首をひねる姿勢は困難な方が多い。演者らは頭部を無理なく傾けるため体幹上部から傾ける方法を開発したので報告する。(続)
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11

嚥下内視鏡検査を用いた食塊形成能の評価と摂食機能療法
飯田良平、菅武雄、森戸光彦(以上、鶴見大学歯学部高齢者歯科学講座)
「緒言」
超高齢社会の到来により、摂食・嚥下機能の低下した高齢者をはじめとして、摂食・嚥下機能障害を有する者が増えている。そのため社会的にも接触・嚥下障害がクローズアップされ、多くの医療機関に接触・嚥下リハビリテーション外来や、相談窓口が設立され始めている。そのような現状の中で、在宅や施設で療養されている方においては、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VideoendoscopicExaminations of Swallowing以下:VE)などによる評価を受けるために、医療機関を受診することが困難である場合が多いのが現状である。在宅や施設の方への摂食機能療法のアプローチでは、栄養管理や口腔衛生管理はもとより、個々の摂食・嚥下機能に適した訓練食や食形態を選定し、適切な食事介助の技能を高めることが重要である。
今回われわれは、歯科訪問診療において、長期経管栄養管理中であった療養型病院入院中の患者に対し、ポータブルのVE装置一式などの機器を用いて接触・嚥下機能評価を行い、病院職員と歯科診療所スタッフとともに摂食機能療法を行った。
その結果介入より約4か月において、3食経口摂取の自立が可能となり、老人保健施設へ転院することができた。種々の機器の紹介とあわせて、ここに報告する。(続)
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12
携帯可能な紫外線・オゾン併用常温高速型滅菌器の再試作
新井浩一(明海大学歯学部機能保存回復学講座歯科生体材料学分野)
野村充(日本大学松戸歯学部歯科生体材料学講座)
渋澤大輔(株式会社日本デント)
安藤進夫(日本歯科大学生命歯学部歯科理工学講座)
【緒言】
血中ウイルス感染症、インフルエンザ、水痘・麻疹、アデノウイルス感染症、単純ヘルペスウイルス感染症・帯状疱疹、結核、薬剤耐性菌感染症、レジオネラ症、性感染症、庎廨などの有病患者も歯科治療に来院する。その場合、印象採得後、印象の滅菌を完全に行うことができないならば、歯列模型を滅菌するしかない。したがって、滅菌されていない歯列模型を取り扱う際に、ウイルスや細菌と歯科医療従事者及び患者が接触し感染する危険性がある。しかし、現状では模型の滅菌は行われていない。(続)
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13
分割し装着する部分床義歯
藤井佳朗(新神戸歯科)
はじめに
部分床義歯を維持するために、残存歯のアンダーカットの利用は重要である。しかしながら、アンダーカットが強すぎる場合、義歯の着脱が困難となるだけでなく、義歯を維持するための残存歯にも、異常な応力がかかり、悪影響が出る。そこで、部分床義歯を頬舌的に分割し、ボルトなどで連結する義歯を考案した。(続)
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14
インプラントオーバーデンチャー用角度補正型マグネットアタッチメントの開発
長田秀和、大久保力廣、鎌田奈都子、新保秀仁、栗原大介、鈴木泰典(以上、鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座)
小林真理子(鶴見大学歯学部口腔顎顔面インプラント科)
菊池亮(NEOMAX)
緒言
市販のインプラント用マグネットアタッチメントはキーパーとスクリューが垂直に接続しており、キーパーを回転させることによりスクリュー固定されている。そのため、インプラントが傾斜して埋入された場合には、キーパー面を咬合平面と平行に設定することができず、キーパー下方にアンダーカットが生じるだけでなく、維持力の低下を招く。
そこで今回、インプラントオーバーデンチャー用に角度補正型マグネットアタッチメントを試作し、従来型のものと吸引力を比較した。(続)
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