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歯科道具誌 JJDent Gadgets No.7 2001 (平成14年4月) 目次

日本医用歯科機器学会会長あいさつ
第11回研究発表大会受賞リスト
第11回研究発表大会報告
特別講演 精密な義歯製作のための器械と材料の選択
☆第11回道具大賞にて発表 ↓クリックで冒頭を表示します。
一般研究発表 1.ワックス軟化装置
  〃

2.使用済み注射針分別処理終末装置

  〃 3.段差解消リフト
  〃   4.根管内交互洗浄装置の開発
  〃 5.咬合治療の腰部への影響を診査する装置
  〃 6.在宅用口腔内明視装置
  〃 7.歯科用インスツルメントの清拭装置について
  〃 8.ボールジョイントを用いたバキューム保持装置の開発
  〃 9.分割既製トレーの研究開発
  〃 10.水噴射・サイクロン方式による新集塵システムの作動原理と性能
  〃 11.歯科症例画像管理システム
シンポジウム 21世紀の歯科診療空間における機器の近未来像の展望
  〃 切削機器の技術革新:エンジンからレーザー切削へ
  〃 ここまで来たDental CAD/CAM System「DECSY」
  〃 予防歯科システムの近未来への提案
  〃 患者と対話できるユニットとデジタル化画像の活用
  〃 情報技術・LANシステムによる診療室のネットワーク化
  〃 歯科診療空間における機器の新未来の展望
日本医用歯科機器学会理事会議事録
日本医用歯科機器学会会則
日本医用歯科機器学会誌投稿規定
編集後記

*一般論文(冒頭)*

SUPER SPFTEN(ワックス軟化装置)
有限会社ホーネット 茅野敏
医療法人飛龍会北浦和歯科診療所 葦沢元春
【緒言】
歯科用ワックスは技工操作、診療行為に用いられる補助的材料で、重要な材料である。使用目的
の違いにより、各種素材の配合が異なり、その配合の違いにより軟化温度もまちまちであり、かつ
、性質も異なる。中でも、パラフィンワックスは、診療行為における咬合採得と、技工操作における
咬合器への模型付着や人口歯排列等に活躍するワックスの花形である。このパラフィンワックス
ですら、JIS規格ではその成分の配合に幅があるため、各メーカーにより軟化温度に違いが生じ
ている。
軟化温度が一定でないことと、成分が様々であることの他、ワックスの形状や厚さ、寸法の違いに
より、ワックス全体を均一に軟化させることは熟練が必要であり、ワックス操作を一人前に扱えるま
でに時間がかかり、難点が多かった。
現在、一般的にワックスを軟化させる場合、ガスバーナーやアルコールランプ等による直火でワッ
クスを軟化させるのが主流である。もちろん、スパチュらを介してワックスを軟化していることも含め
ている。その他、湯煎して温めたりしている。こうした方法では熱源が軟化温度より高温になるため
、パラフィンワックスの組成成分である蜜蝋などの融点の低い物質は揮発してしまうし、セレシンや
、パラフィンなども溶融したり、燃焼したりして、パラフィンワックス本来の性質とは異なるワックスと
なる。高温で溶融すると、ワックス自体の冷却した時の収縮が大きくなり、正しい咬合採得ができず
、技工操作上の狂いの源となる。
また、患者の口腔内に使用する際には、温度管理や溶融時の不快臭等の問題もあるし、ワックス溶
融による揮発性物質の飛散で、技工室や診療室の大気を汚染し、術者の健康を損なう心配も考えら
れる。

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BIG SUPER TROUPER SYSTEM(使用済み注射針分別処理終末装置)
有限会社ホーネット 茅野敏
医療法人飛龍会北浦和歯科診療所 葦沢元春
【緒言】
医療廃棄物の処理において、使用済み注射針は特に感染性廃棄物の中でも処理が困難なもの
とされている。廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物に分類され、産業廃棄物は更に、感染性廃
棄物と非感染性廃棄物に分類される。感染性廃棄物は、血液・体液等の付着している綿やガー
ゼなどの可燃性廃棄物もあるが、メスや注射針といった危険物は、各医療機関における処理は
認められておらず、現在では世界中どこでも、処理業者に回収、委託しているのが実態である。
その処理は、法律により厳しく規制され、日本では、自治体や環境省などの指導により、マニフェ
ストによる終末処理の確認が各医療機関に義務付けられ、毎年報告書を作成することとなって
いる。(続く)
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段差解消リフト
限会社ホーネット 茅野敏
医療法人飛龍会北浦和歯科診療所 葦沢元春
【緒言】
高低差が3m以上ある場合は、エスカレーター、エレベーター、階段側面自走式台車等があるが
、これらの装置は落差1m以下の場合、多くはスロープを作り段差を解消しているが、狭い土地
では勾配が急になり、既存建物の関係上物理的に設置できないところも多々みられる。
バリアフリー化型の社会を構築することが今や国家的課題となりつつあり、長寿日本の社会では
要介護者が健常人と同様に安全にどこでも出かけられるようになった。介護保険制度の導入に
より、要介護者の低レベルの方は、独立支援体制となり、自宅で療養される方も少なくない。こう
した方々にとって、病院や診療所にかかることは不可欠となっているが、病院や診療所の玄関付
近に見られる段差解消のための設備はまだまだ充分ではない。また、要介護者のいる家庭の玄
関ですら、その改良には、多大な費用が負担となり、要介護者自信の自由を奪っている状態であ
る。
そこで、著者らは、ほんのわずかな階段等の段差に経費をかけず、場所も取らずに簡単に解消
でき、安全に誰でも利用できるようにするため、本装置を開発した。この装置により、要介護者の
みならず、介護者も一緒に搭乗できるため、安心して利用できる。特に最近では、要介護者と介
護者がともに高齢となっていることも珍しくない状態であるため、こうした配慮が重要と考えた。
(続く)
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根管内交互洗浄装置の開発
昭和大学歯学部第2保存学教室 東京都開業 安藤正美
【はじめに】
歯内療法の成功において、特に重要な点は、根管内が無菌かつ有機物(歯髄残査等)などの残存
が無い理想的な根管形成の後、適切な根管充填がなされることである。
その術中拡大操作に伴って発生する象牙質削片や細菌生成物、歯髄残査等を取り除くため古くか
ら主主の洗浄法が用いられてきた。
IngleとZeldowは洗浄の重要性を強調しており、BrownとDoranは、洗浄剤としてヒポクロリットと
過酸化水素水を交互に使用した時最大の清掃効果が得られることを示した。そして現在において
もこの歴史的手法が継続されておりまた満足な結果が得られている。しかしその洗浄液を根管内
に移送する方法も当時と同様にシリンジの先端に注射針をつけたものを使用しているのが現状で
ある。
シリンジの保持は大抵人差し指と中指によってなされ同時に親指はその安定と注入圧の微妙な動
力源としての役割を同時に果たさねばならない。熟練したデンティストにとっては大きな問題ではな
いが、当院の新人研修医にとっては、しばしばその取り扱いに際し根尖気腫の恐れを感じることが
ある。また患者ごとの頻繁なシリンジの交換や薬液の吸引は、アシスタントにとってもストレスとな
るところである。そこで、今回それらの欠点を解消するために、新しい根管洗浄器を試作した。
(続く)
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咬合治療の腰部への影響を診査する装置
新神戸歯科 藤井佳朗
【緒言】
歯科領域、特に噛み合わせと全身との密接な関連性が指摘されて久しい。とくに頭痛、肩凝りや
腰痛など不定愁訴と呼ばれる症状に対する歯科治療経験が多数発表されている。咬合不全が
原因で、発症する多くの不定愁訴は歯科治療を実施せずに改善することは少ない。しかしなが
ら、口腔から離れた部位における症状に対して、歯科領域に原因を求めることができず、整形外
科など他科を受診し、十分な効果が得られないまま、治療に苦戦している場合も多い。この場合
、治療の長期化による患者負担の増大と、医療費の膨大化の原因になりうる。
経済構造改革がさけばれるなか、医療構造改革を推進するためにも、無駄な医療費を削減する
ことが急務である。そこで、歯科治療の全身に対する影響を広くアピールする必要性があるのだ
が、歯科界が咬合の全身への影響を主張しても、他科の関係者を納得させることができなけれ
ば、歯科における咬合治療の普及は困難である。そこで、今回は腰部(腰椎)や仙腸関節の状態
を把握するのに、医科で普及しているSLRやラセッグテストと呼ばれる診査を簡易的に数値化で
きる装置を考案した。(続く)
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在宅用口腔内明視装置
昭和大学歯学部歯科理工学教室 高柴重幸 清水友 宮崎隆
T はじめに
口腔ケアは近年、要介護高齢者に対して特にその重要性が注目されてきている。要介護高齢者に
対する訪問時の診療・処置としては義歯調整が一般的であると思われる。しかし、歯科医療に接す
る機会が少ない介護者は義歯の洗浄など目に付く部分は行えるが、口腔内の洗浄や残存歯のブ
ラッシング、褥瘡のチェックなどまで十分に行えているとは言い難い。この要因の一つに口腔内が
暗くてよく見えないことが挙げられる。(続く)
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歯科用インスツルメントの清拭装置について
昭和大学歯学部歯科理工学教室 佐藤勝彦 清水友 宮崎隆
T はじめに
細菌の歯科医院では、人件費削減のためにドクター1人での診療も珍しくなくなってきている。し
かし、1人診療下では使用しているインスツルメントのアルコール綿などによる清拭が難しく、ミ
ラーなど舌・頬・圧排器具を左手より手放さなければならないことが問題となる。そこで今回、ハ
ンドインスツルメントを持ち替えないで清拭を行える様な簡易清拭装置を考案した。(続く)
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ボールジョイントを用いたバキューム保持装置の開発
愛知県開業 上田義人
朝日大学歯学部歯科保存学講座 平田健一 関根一郎
【はじめに】
歯科治療における口腔ないバキュームの保持操作は長時間安定的に固定する力と集中力の持
続が必要で歯科助手にとって、かなりの負担となっている。
そこで、我々はオートマニュピレーター方式を用いたバキューム保持装置を試作し、先の第9回
本学会において発表した。この装置はバキュームを保持してるアームの周りに4つの近接センサ
ーが装備され、アーム部の移動に追随して2つのモーターが作動することにより、装置が瞬時に
上下左右に回転するため、バキューム部の移動がスムーズに行えかつ、目的の位置に確実に
固定できた。しかし、本装置は構造が若干複雑で装置自体も大きく、更に重量が重いため簡単
に移動させること出来ない等の欠点が認められた。
そこで、今回はこれらの欠点を克服し、かつ、従来のようにバキューム部の移動がスムーズに行
え、目的の位置に確実に固定できるように、ボールジョイントを用いた方式に変更し、改良を加え
たので報告する。(続く)
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分割既製トレーの研究開発
鶴見大学歯学部歯科補綴学第一講座 大久保力廣 細井紀雄
横浜市開業 大久保千佳
はじめに
現在の歯科治療において既製トレーを用いた印象採得は日常頻繁に行われており、その重要性は
誰もが認めるところである。しかしながら、患者の口腔内は欠損様式、歯列弓の大きさなど千差万
別なため、数種類の既製トレーで全患者を適切に印象することは困難であり、高度な技術が必要と
なる。そこで、既製トレーによる印象採得をより容易に、より精度高く行うため、分割既製トレーの開
発を行った。(続く)
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10 水噴射・サイクロン方式による新集塵システムの作動原理と性能
有限会社臨床歯科技術研究所 塚口真守 富田英二 内木雄一 山本靖廣
ミトレーペン研究所 植田秀雄
コスモメカ設計 山田隆
【はじめに】
歯科技工における作業粉塵と、歯科技工士の健康問題、とりわけ呼吸器に与える影響については密
接な関連性があることが指摘されている。しかし、我が国においては、本格的疫学調査はいまだ実施
されておらず、有所見率は明確にはなされていない。
一方、欧米(ドイツ、ベルギー、スウェーデン、デンマーク、フランス、アメリカ)では歯科技工士に塵肺
症が発症することが1962年以降報告されている。また、これらの作業粉塵の人体に及ぼす影響に
ついては、粉塵の成分と粒度分布との関わりについて多くの報告がなされている。
現在、作業粉塵の直接吸引を避ける試みとして、多くの集塵ボックスが販売され使用されている。これ
によって、作業粉塵の直接吸引は一定解決されるが、集塵機を室内に設置した場合や、掃除機を使
用した場合には、集塵機からの排気粉塵による2次的汚染が心配される。(続く)
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11
歯科症例画像管理システム
日本大学歯学部歯科理工学教室 叶{山歯研 須山慶太
日本大学歯学部歯科理工学教室 西山實
日本大学歯学部附属歯科技工専門学校 林順子
【まえがき】
IT時代を向かえ携帯電話、インターネットおよびパーソナルコンピュータなどの進出はめざましく、今
や日常生活には無くてはならない存在になっている。
歯科診療の現場では、デジタルカメラによる診療画像がX線撮影と同様に診療不可欠なものとなっ
てきており、それらの管理にカルテ管理用パーソナルコンピュータが用いられている。
そこで、我々は歯科症例画像管理システム開発の一環として、診療時に撮影した画像及びそれから
得られるデータを管理し、それらを基に治療計画、診療内容プレゼンテーションおよび歯科技工所向
けの指示書として応用することを企図した。
このシステムは、低価格で実現することを目的に市販のデータベースソフトを用いた。また、上記した
記録とその保管を簡便な操作とするため、可及的にキーボード入力を廃してマウス操作をメインとし、
診療画像とそのデータおよび治療計画などの指示を容易にした。
ここでは、その機構および特徴について報告する。(続く)
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