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歯科道具誌 JJDent Gadgets No.8 2002 (平成15年3月) 目次

日本医用歯科機器学会会長あいさつ
第12回研究発表大会報告
第12回研究発表大会受賞リスト
寄稿論文 学術情報の公開と知的財産立国
特別講演 歯科用小型X線CT(3DX)開発の道のり
☆第12回道具大賞にて発表 ↓クリックで冒頭を表示します。
一般研究発表 1.生体適合試験用サンプル
  〃

2.ラバーダムクランプの新デザインと【二者選一】システム

  〃 3.瞬時にオゾン水が作れる携帯用オゾン吸蔵体
  〃   4.完全無痛手術を可能とする器具の開発
  〃 5.歯科技工を容易にした適用範囲の広いスギナカリーゲル
  〃 6.エンドライト
  〃 7.訪問歯科診療用折りたたみ式集塵ケースの開発
  〃 8.混水比デジタル計量器の試作
  〃 9.簡易型歯科用インスツルメントクリーナーの開発
  〃 10.ブラッシングスペースでの歯科処置
  〃 11.試作チップによる超音波振動装置の根管洗浄効果の研究
シンポジウム 歯科用CAD/CAMの現状と今後の展開
  〃 プロセラ・システム
  〃 ここまで来たDental CAD/CAM System「DECSY」
  〃 「DENTAL CAD/CAM GN-T」の特徴について
  〃 進化したデンタルCAD/CAM CEREC3 を使った臨床
日本医用歯科機器学会理事会議事録
日本医用歯科機器学会会則
日本医用歯科機器学会誌投稿規定
編集後記

*一般論文(冒頭)*

生体適合試験用サンプル
新神戸歯科 藤井佳朗
【緒言】
歯科材料においては、物理科学的性質のみならず、生体親和性も重視されるべきである。しかしながら、
わが国では法的に毒物に分類されるアマルガムや環境ホルモンの溶出が疑わしい歯科材料が国によって
認可され使用されている。アマルガム充填はアレルギー科の医師の調査ですでにアトピー性皮膚炎発症
との因果関係が学会でも発表されているし、ニッケルはアレルギー疾患を誘発しやすいともいわれてい
る。歯科材料に関しては、アレルギーのみならずその毒性なども考慮したうえで、患者に適応した材料
を慎重に選択しなければならないが、現実には、アレルギー反応を調査するパッチテストやLST(リ
ンパ球幼若化試験)が行われている程度で、その毒性に関する試験が患者ごとに行われることはほとん
どない。そこで、著者は、1960年代にアメリカのドクターグッドハートが発表したアプライトキネ
ジオロジーやそれを基本に改良発展させてきたO−リングテスト、さらに演者が研究している平衡感覚
障害(藤井現象)を利用したテストを参考に歯科材料の選択を行っているので紹介したい。(続く)

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ラバーダムクランプの新デザインと【二者選一】システム
ショージ歯科 東海林芳郎、東海林弘子
緒言
診療でのラバーダムクランプ(以下クランプとする)の使用法は看歯部の隔離を目的とした簡易隔離法
と完全隔離法とがある。
簡易隔離法では治療器具の誤飲の可能性もあり、完全隔離法が望ましいが、問題は臨床的に使用さ
れない傾向がある。
その理由には、クランプは、有翼型と無翼型を含めて多様な種類と形態があること、臨床家にとってそ
の選択は煩雑なものとなっていること、日本では根管治療が適正な評価がなされておらず、治療自体
が軽視されがちであること、ラバーダムシステム装着法が単純化されていないこと、治療中に手指や
コントラヘッドが装着されたラバーやクランプに触れて自由に制御し難いことなどが考えられる。
そこで、臨床的にラバーダムを使用しやすくする目的で、(1)前歯、小臼歯用と(0)大臼歯用の【
二者選一】方式と解剖学的歯牙数値に基づいて、クランプを新しくデザインした。(続く)
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瞬時にオゾン水が作れる携帯用オゾン吸蔵体
明海大学歯学部歯科材料学講座 新井浩一
協同組合テクノクリーン 渡辺聡
埼玉県工業技術センター南部研究所 熊谷知哉
【緒言】
オゾンは強力な酸化剤であり、ほとんどの物質はオゾンと接触すると酸化分解される。オゾンはこの酸
化力により高い滅菌、消毒、脱臭作用を発揮する。当然、強力な酸化剤は人体に対して有害でもある。
従って、オゾンの安全性を考慮して、低濃度オゾンを利用する方法を考え、Ar−Hgの超小型紫外線
発光ランプとインバータ(図1)を用いて、低濃度の気体オゾン、オゾン水およびオゾン化合物の利用
開発を行ってきている。低濃度気体オゾンの利用法として、院内感染を予防する目的で、オゾン発生処
理後、残留オゾンを分解処理できる小型の脱臭・除菌用オゾン発生装置を試作し、第10回日本歯科道
具学会で報告した。筆者らの研究目的は、@オゾン吸蔵体を充填したステンレスボンベ、いわゆるオゾ
ンボンベの開発、Aオゾン水作製水道用カートリッジの開発、BHgを使用しないエキシマランプの開
発の3項目である。
そこで、本研究では、電気分解またはコロナ放電式の大型オゾン水製造装置を使用しなくても、瞬時に
オゾン水を作ることができる携帯用オゾン吸蔵体について検討を行ったので報告する。(続く)
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完全無痛手術を可能とする器具の開発
品川区開業 西連寺充彦
【はじめに】
われわれの日常の歯科診療においては局所麻酔が不可欠のものである。ほとんどすべての診療行為
が外科処置であり、局所麻酔の使用頻度は多科に比べて著しく高い。粘膜は皮膚よりも痛点の緻密度
が高く、患者にとって治療の初めに注射針がこれら敏感な部位に突き刺さるという恐怖からはじまる。
注射針の刺入痛により、高齢の有病者は全身的偶発症が発生しやすく、毎年死亡事故が報告されて
いる。現在使用されている、いかなる注射器でも、また、注射針を細くしても完全無痛で麻酔することは
不可能です。痛みのない麻酔や処置を心がけることは非常に大切なことで、長年、研究開発を続けて
まいりました結果、現在では無痛で快適な治療を提供することが可能となりました。今回これらの開発
品について報告する。(続く)
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歯科技工を容易にした適用範囲の広いスギナカリーゲル
奈良市開業 杉中功一
T.はじめに
コーヌステレスコープ・デンチャーはコーヌスクローネ内外冠に強い嵌合力が生じ、内冠の脱離や築造
体ごとの脱離、また義歯の着脱困難といったトラブルをよく起こす。その理由はコーヌス内外冠の嵌合
状態が楔と箍の関係にあるという物理的作用機序によるものである。そこで内外冠をルーズフィットに
することでこれらの問題は解決されるが、これにより失った維持機構の一つとして使用されるものに精
密維持装置リーゲルがある。この精密維持装置リーゲルはミリングマシーンを使い水平、垂直、直角、
平行といった要素の多い技工であり、その技工の繁雑さ、複雑さは大変なものである。こうしたことか
ら、技工が容易でコスト減がはかれ、臨床的に扱いやすいリーゲルはできないものかと考え作ったス
ギナカリーゲルである。(続く)
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エンドライト
昭和大学歯学部歯科理工学教室 高柴重幸 岡崎雄一郎 清水友 宮崎隆
1 はじめに
様々な技術の進歩に伴い、以前では考えられなかった治療が現在では可能となっている。そのため、
ひとくちに歯科治療と言っても、その内容は多岐に渡っているのが現状である。そして、多岐に渡る歯
科治療の中で私たちが最も頻繁に行っており、かつ重要である治療が、抜髄処置、感染根管処置等
の根管治療である。
狭い口腔内で行われる根管治療は、術者にとっては容易な処置であるとは言いがたい。特に大臼歯
は無影灯による光が届きにくく、根管数が3〜4根管と複数であるため治療は大変困難を極め、術者
の疲労度の高い治療の一つであると考えられる。根管治療が困難である要因の一つに明視化による
治療が難しい点が挙げられる。この点を解決しようと顕微鏡カメラなどを用いた根管治療等が研究さ
れているが、こうした設備は高価であり一般に普及するにはまだ、研究が必要であると考えられる。
本研究では根管治療時に用いられるエンドメーターのエンドクリップを応用することにより、明視化に
よる根管治療を実現できないかと考え、超高輝度LEDを配した試作エンドライトの開発を試みた。
(続く)
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訪問歯科診療用折りたたみ式集塵ケースの開発
日本大学歯学部附属歯科技工専門学校 林純子 廣瀬英晴 西山實
【はじめに】
日本は高齢社会を迎え訪問歯科診療が増加している。その現場は、在宅から特別養護老人ホームな
ど介護施設へ展開が進められている。また、様々なニーズに合わせた訪問歯科診療用機器の開発が
行われている。一方、訪問式での診療および技工時間の短縮化は大切な要素の一つとなっている。
我々は、これまで、訪問先でレジン床義歯などの修復調整に遭遇すると、家庭用ゴミ袋の中で検索、
研磨作業を行っていた。その際、室内にわずかに飛散したレジン屑を家庭用クリーナーで集塵するとゴ
ミ袋自体を吸引するなどの問題が生じた。
そこで、この問題を解決するため新規に訪問歯科診療用の折りたたみ式集塵ケースを開発することと
した。開発理念は。@コンパクト、A軽量、B機能的、C安価とした。今回は試作した数種の折りたたみ
式集塵ケースの中からA4サイズを中心に報告する。(続く)

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混水比デジタル計量器の試作
東京都杉並区開業 荒井敏夫
(株)デントロニクス 片寄静児
1はじめに
歯科の臨床で使用するアルジネート印象材技工室での各種石膏及び鋳造用埋没材は、水を加えて練
和するが、各社製品により混水比(W/P)がそれぞれ異なる。粉末100グラムを水50mlで練和する
場合W/Pは50/100で0.5である。これはメーカーの指示の混水比であるが、術者の使い易さを考
慮し、水の比重を1として各自の混水比を決めて、正確に計算して練和する事が重要である。(続く)
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簡易型歯科用インスツルメントクリーナーの開発
昭和大学歯学部・歯科理工学講座 佐藤勝彦 清水友 宮崎隆
演者らは第11回日本医用歯科機器学会において、インスツルメントの清拭装置について発表した。
前回の試作機における問題点にさらに検討を加え、より簡便でコンパクトなインスツルメントクリーナ
ーを考案した。
1.開発背景
@.清拭作業用簡易用具のニーズが高い
A.より簡便な取り扱いが望ましい
B.衛生面より、ディスポーザブル化にすべき
C.安価であり、製造や廃棄が容易
(続く)
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10 ブラッシングスペースでの歯科処置
葭田歯科医院 葭田秀夫
はじめに
患者さんはさまざまな体型の方や体の動きに制限のある方がいる。それらに個々に対応するユニットが
あれば理想であるが、一機種のユニットで対応するのには工夫を要する。特に高齢者等には腰が曲が
って安頭台に頭がつかない方や、体が硬くなりウガイをするのに体を捻ることが困難な方もいる。また腰
や膝に痛みを持つ方はユニットに座ること自体が苦痛の方もいる。切削等を必要としない処置を行う場
所として洗面台と事務用の椅子で構成されたブラッシングスペース(以下BS)を使用している。その
利点や欠点について考えてみた。(続く)
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11
試作チップによる超音波振動装置の根管洗浄効果の研究
日本大学歯学部保存学教室歯内療法学講座 明石俊和
日本大学歯学部総合歯学研究所高度先端医療研究部門 紙本篤 滝田稔弥 手嶋健介
歯内療法における根管洗浄・清掃は根管治療を成功させる重要な操作の一つである。
ところで根管内の汚物には食物、壊死歯髄、細菌あるいは根管拡大後の象牙質削片、再根管治療時
の根充材である、ガッタパーチャポイント、や糊材根管充填剤など多くのものが根管内に存在する。
そこで、根管処置においては汚物の除去の目的で、手用リーマー、ファイル、根管洗浄液、有機溶媒、
超音波振動装置、あるいはエンジンリマーに代表される機械切削など多くのものが用いられている。
また、根管内の汚物には根管拡大後に生じる象牙質削片や根管壁に付着する、壊死歯髄、細菌ある
いは象牙質削片等から成るスメアー層と、再根管治療時の根充材である、ガッタパーチャポイント、や
糊剤根管充填剤などがあり、これらを除去するには化学物質も検討されるが薬剤の使用は人体への
影響も考え、現在は頻繁に使用されなくなってきている。
そこで、キャビテイション効果が期待できる超音波振動を用いた根管洗浄が効率よく汚物の除去ができ
るのではないかと考え、今回、薬剤を併用せず、超音波のみで使用することを目的とした根管洗浄用超
音波チップを試作し、根管拡大後の根管壁面をSEM観察し、スメアー層の除去効果について検討した
ので報告する。(続く)
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